大田区放射性物質測定室で使用している測定機について

当測定室では、EMFジャパンのEMF211という「食品中の放射性セシウムスクリーニング法」に適合した測定機を使用しています。
この測定機には、ローバック(NaI結晶からの影響が少ない)タイプで、直径3インチ×高さ3インチの大型NaI(Tl)シンチレーション検出器が使用されています。
(搬入日:2012年9月27日)
高性能ガンマ線遮蔽装置
この測定機はバックグランド(以下、BG)の影響を受けにくくするために、厚さ50mmの鉛板でシールドされている他、内側には厚さ3~10mmの真鍮板を張って、散乱X線や特性X線を吸収させることでバック
グラウンドの更なる低減を図っています。
測定下限値
メーカーカタログによる測定下限値(検出限界値)は、1Lマリネリ容器に水を1L充填し4時間測定した時のCs-137放射能濃度測定下限値(検出限界値)は0.6Bq/kg。
1時間測定で1.2Bq/kg、15分間測定で2.3Bq/kgとなっています。

性 能
- 測定上限
- 1,000,000Bq/kg (Cs-137を350mLポリ容器で測定した場合)
- 測定確度
- 日本アイソトープ協会の標準体積線源基準値に対して±10%以内
- エネルギー分解能
- Cs-137の662keVにおいて6.5%±0.5%(FWHM)
- 測定エネルギー範囲
- 0.03~2MeV
より正確な測定を行うために

測定機の設置場所は、テクノAP社製「TC100-S」のスペクトル分析機能を使用して、EMF-211で定量に関係するノイズにならないよう、600keV以上の単位時間あたりのカウントが少ないところを事前に調査。
測定室内で最も放射線の影響が低い場所に設置しました。
- 測定機の電源は原則として常時オン。
- 室温や湿度は、ある程度一定となるよう24時間空調でコントロール。
- バックグラウンド低減対策として、空間線量が低い場所に設置。
(定期的に室内を清掃するほか、雨の日対策に傘は室外に置くなども。) - コンタミを防ぐため、使い捨て手袋の使用はもちろん、検出器部分にはビニールを被せる他、マリネリ容器も厳重管理。(洗浄する場合は2度洗い、キッチンペーパー使用、24時間乾燥)
カリウムによる寄与をチェック
カリウムが多く含まれている「やさしお」(味の素)を1,000mlの純水に50g、20g、10g、5g、2gとそれぞれ用意して30分程度の測定。 カリウムがセシウムとして誤検出されていないかチェックしました。
ほぼ毎日エネルギー校正を実施
メーカー推奨よりも更に性格に測定するため、ほぼ毎日ピークフィットを実施しております。

- 【K-40(カリウム40)】
塩化カリウムを利用してエネルギー校正を行っています。 - 【Pb-214(鉛214)、Bi-214(ビスマス214)】
「超低濃度天然ウラン線源」を利用してエネルギー校正を行っています。 - 【Cs-137(セシウム137)】
コイン線源をアクリル樹脂で固定した「Cs-137密封線源」を利用してエネルギー校正を行っています。
ほぼ毎日バックグランドを16時間かけて行っております。
予約状況によって、バックグランド測定に使用する状態を変更しております。
例) 次の日に持ち込まれる検体が1kg以上で密度が高いものがメインの場合
→1800mlマリネリに純水を1000ml充填
その他このバックグランドを使用しないほうが、より正確に測定できると判断した場合は、異なるバックグランドを直近から選び適用しています。
主なバックグランド測定(基本的に、下に行くほど頻度は下がります)
・1800mlマリネリに1000mlの純水を充填して16時間測定
・900mlマリネリに500mlの純水を充填して16時間測定
・1800mlマリネリを空の状態で16時間測定
・900mlマリネリを空の状態で16時間測定
・500mlマリネリを空の状態で16時間測定
・500mlマリネリに純水を350ml充填して16時間測定